【スマホから始まる親子の終活】その5~YouTuber活動の相続!?~
FP Officeの 宮本 誠之と申します。
FPとして、様々な世代の要望に応えるべく、日々情報収集をしております。
そんな中で私が興味を持ったもので、これを読んでいただいた方の将来に役に立つかな、という情報をこれからお届けしていこうと思っています。
【デジタル遺品の探しかた・しまいかた、残しかた+隠しかた】〈1〉
という本を読んでいます。
前回に続きます。
(前回の記事はこちら→【スマホかスマホから始まる親子の終活】その4)
皆様、最近、小学生の憧れる職業のランキングに、【YouTuber】というものが登場していることにお気づきでしょうか。
一昔前には影も形もなかったこの名前ですが、現在では、テレビを押し退け、子どもたちをとりこにしてしまうものとなっております。
さらに、子供のみならず、この文章を主にお読みになるであろう成人層の方であっても、ふと気づくとYouTubeのアプリのボタンを押している方も多いのではないでしょうか。(ちなみに筆者は通勤途上、勉強兼ねて、税理士さんのYouTubeをよく閲覧しております。)
なんとなくテレビをつける、が、なんとなくYouTubeを再生してみるという習慣に切り替わったようですね。
という訳で、前回までスマホから始まる親子の終活というタイトルで、デジタル遺産にまつわる話をしてきました。
今回もさらに具体論に踏み込み、【YouTuber活動って相続できるのか?】について考察したいと思います。
まず今回の【YouTuber】という言葉を定義します。
これは、「YouTube上での動画公開により収益を得ている方(YouTubeパートナープログラムの審査を通過している方)」となりますが、
ちなみにこのプログラム、大変厳しいハードルとなっており、
・チャンネル登録者数1,000人以上
・総再生時間4,000時間以上
などが現時点での最低条件のようです。(少しずつ規定が変化しています)
これをクリアした方は、
・動画広告の再生回数に応じた広告収入が受け取れる
・ライブ配信などで投げ銭的なものを受け取れる
・月額課金制(サブスクリプションなどともいう)により会員数が増えるとそこから収入を得たりできる
そうです。
さて、デジタル終活の話題と紐つけた場合、当人の生死に関わらず、YouTube動画の再生が行われるたび収益が上がり続けることが考えられますが、死亡により振込先となる口座が凍結すると、YouTubeからの収益が受け取れない、という事態になります。
YouTubeは、Googleが管理していますので、Google宛に、
・アカウントヘルプというところで、【死去したユーザーのアカウントに関するリクエストを送信する】という操作をして、
故人及び申請する遺族や法定代理人の情報を書き込み、証明書類をアップロードします。(書類は英語で翻訳されている必要があります。)
このように適切な手段で手続きすることで、故人アカウントに関して
①閉鎖の申し出
②保存データの取得
③収益に関するリクエスト
などを行うことができます。
他の動画サイトに関しても、遺族による情報引き出し問い合わせは各社のページを参照の上これを把握していることが必要となります。
これも今や、立派なお金を稼ぐ手段となりえました。
他のデジタル遺品と同じように、YouTube上の遺作も、適切な手続きを踏めば、希望に応じて処理方法を相談できるようになっていますので、生前に、これらに関しても自身の意図を伝えておく…こんな時代がもう到来しているのですね。
いざという時のためにエンディングノートなどに活動状況を遺しておくことも大事でしょうし、未来に関して言えば、仮に自分がやっていなかったとしても、自分の子供が突如「YouTuberになりたい!」と言ってくる可能性は十分にあるかと思います。
親御さんは今回の話題を頭の片隅に置きつつ、ネットマナーなどの話題から、YouTubeの世界の狭き門、厳しさ度合いも語りつつ、是非子供の興味を育てるようなコミュニケーションをしてあげてください。
当然、本当に大成功する日が来ないとも限りませんし、こういったことへの興味が別のスキルに化けることもあると思いますので。
(筆者の息子たちは今のところ見る専門のようです。)
このようなわたしの身の回りの日常から得た体験でも、ご参考になれば幸いです。この本、さらに読み進めておりますので、少ししたらまた続きを書こうと思います。
〈参考文献〉
〈1〉伊勢田篤史・古田雄介,"デジタル遺品の探しかた・しまいかた、残しかた+隠しかた"
,日本加除出版,2021年10月,204頁,978-4-8178-4754-6
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