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投資信託で資産形成する際は、リターンよりもリスク(標準偏差)とシャープ・レシオに注目!【つみたてNISA・iDeCo】

つみたてNISAやiDeCoで資産形成をはじめようと思った際、どの投資信託(ファンド)に投資したらいいのか迷われるのではないでしょうか。金融機関の方に勧められた商品で積立をはじめる方や、ネットでおすすめされている商品で積立をはじめる方もいるでしょう。今回は、私が投資信託(ファンド)で積立をはじめる上で実践しているポイントをお伝えします。



直近のリターンばかり見ていませんか

投資信託を選ぶ際に、一番注目するのはリターンだと思います。資産形成をしていく上で、積立投資は自分で投資したお金を殖やすのが目的ですのでリターンに注目することは当然だと思います。ですが、投資は預金と違ってそのリターンが一定で受け取れるものではありません。また過去のリターンがよくても将来のリターンが約束されたものではないということを念頭に置いて投資をしなければなりません。直近のリターンばかりに目がいってしまって思ったようなリターンを得ることができないこともありますので、リターン以外のこともしっかり考えて投資をはじめましょう。



投資をはじめる上でまず行うことはリスクを理解し自身のリスク許容度を確認する

投資をはじめる前にまず見るのはリターンよりもリスクです。リスクは日本語では「危険」や「危険性」といった意味でつかわれると思いますが、経済学では一般的に、「ある事象の変動に関する不確実性」を指し、ファイナンスの分野ではプラスの影響とマイナスの影響のどちらも与えるものであるとされ「リターン(収益)の変動」、つまりリターンのブレの大きさを指します。リスクとリターンは表裏一体であり、リターンが高ければリスクも高くなります。(図1)

このように、リターンを大きくしようとすればリスクも高くなりますので投資した資産がどこまで減ってしまっても大丈夫か、まずはリスクがどれくらいまで許容できるのかを考えましょう。

図1 リスクとは「運用成果(リターン)のブレ幅」

目的にあわせてリスクを考える


リスクを考える上でポイントになるのが、投資した資産を何年保有するかです。ここで外国株式の過去の保有期間別のリターンを見たいと思います。

下記のグラフ(図2)は外国株式の過去の保有期間別のリターンをグラフにしたものです。ご覧の通り、1年間の保有ですと66%上がった年もあれば、53%下がった年もあり、過去の経験則からするとこのくらいの将来もこの程度のリスク(リターンのブレ)が考えられることになります。ただ、20年程度保有すると年率換算で5%から15%の間に収束しています。長期保有することによりリスクを小さくすることも可能です。20代30代の人が老後資産形成の為に外国株式に投資することはリスクが小さく、逆に60歳の時に退職金を運用して5年後に現金化しようとするとリスクが大きくなります。

これから投資する資産はいつ現金として使うのかを考えリスクをどの程度にするかを検討することが大切です。

図2 外国株式のリスク

リターンとリスク(標準偏差)の関係を理解する


資産運用におけるリスク(標準偏差)とは、リターンの散らばり具合どの程度の大きさかを表す指標であり、1年間のリターンのブレ幅をあらしています。

具体的には、「年間平均リターン±1標準偏差に収まる確率は68.3%」、「年間平均リターン±2標準偏差に収まる確率は95.4%」と見ることができます。


実際に、つみたてNISAでも人気のある「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」がベンチマークにしているS&P500を例にあげて見てみましょう。

S&P500の期待リターンは7.5%、リスク(標準偏差)は約19%だとすると、1年間のリターンは期待リターン7.5%を中心にして、上下19%の間で変動する確率(プラス26.5%~マイナス11.5%)が約3分の2(68.3%)であることを意味します。また、プラス45.5%~マイナス30.5%に収まる確率は95.4%ということになります。このように期待リターンを中心に標準偏差のぶんだけブレる可能性があります。(図3)

※標準偏差は、証券会社やモーニングスターの各ファンド情報などで確認ができます。

図3 S&P500 リターンとリスク(標準偏差)の関係

投資信託(ファンド)を選ぶときはシャープ・レシオに注目する


ここまでリスクについてお伝えしましたが、自分自身のリスク許容度を把握し、実際に投資信託(ファンド)で資産形成をはじめる際にはファンドの選定が必要になります。ファンド選びは様々な考え方がありますが、私が参考にしているのがシャープ・レシオです。


2022月9月末時点で、公募投資信託は5,908本あります。(一般財団法人投資信託協会「数字で見る投資信託」より)

この中から自分が投資するファンドを選ばらなければなりません。

まずは今後成長しそうな国や分野、企業を考え投資対象を絞ります。同アセットクラスでどのファンドにしようか参考にする指標がシャープレシオです。


シャープレシオは、リスクに対してどの程度リターンを得られているのかを示す指標です。

ノーベル経済学賞を受賞したウィリアム・シャープが考案し、異なる投資対象を比較する際に同じリスクならどちらのリターンが高いかを考える時に役立ち、運用成績を比較する際に用います。

シャープレシオ計算式

シャープ・レシオは、証券会社の投資信託の情報にも記載がありますが、私はモーニングスター社のサイトで確認しています。


それでは、米国株ファンドに投資することを決め何本かを比較してみましょう。

今回は、2022年末時点9月末時点の5年データでみていきます。


【対象ファンド】

① アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)

② 米国NASDAQオープンBコース

③ iFreeS&P500インデックス


【シャープ・レシオ】

① 0.96(リターン年率16.49%、標準偏差年率17.12%)

② 0.87(リターン年率15.94%、標準偏差年率18.29%)

③ 0.86(リターン年率14.72%、標準偏差年率17.15%)


① アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)の過去のシャープ・レシオ実績がよかったので、将来も同じように運用されることを期待して投資をはじめます。といったように利用します。実際に私はこちらのファンドもポートフォリオのひとつとして積立をしています。


このようにファンドを比較し、そのファンドに投資するための根拠づけにすることができます。



シャープ・レシオを利用する際の注意点


シャープ・レシオは、異なるアセットクラスで比較しても意味がありません。そもそも外国株式ファンドと国内債券ファンドではリスクの大きさが違います。また、異なる通貨であったり比較期間や時期が異なったりした場合も同様です。同カテゴリーのファンドで比較する際に利用しましょう。


最後に


今回は、私が考える投資信託で資産形成をはじめる際のポイントについてお伝えしました。今回お伝えしたポイントはあくまでも過去の経験則から将来の投資を行う考え方の一部です。資産形成は将来の成長分野に投資することを念頭に置きましょう。今後、技術革新がおき新たな分野が誕生し、注目されていない分野が急成長することもあります。また、今成長しいる分野が衰退していくこともあるかもしれません。柔軟なポートフォリオを組成していきましょう。


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