レトロブームとタイミング
アナログレコードが売れているそうです。
米国では、20年上半期にレコードの売上高がCDを逆転したとのことで、形を変えたコロナの余波に驚きました。
エンタメ業界で見ると、同じようなタイミングで、ネットフリックスの会員が過去10年で初の減少となり、株価が大きく下がっているのとは非常に対照的と言えます。
もちろん、レコードの曲を知ったのはYouTubeというあたりは現代ならではですが、
テクノロジーが作り出した「より便利な世界」に単純に染まりきらないところに、人の面白さや不可思議さが見て取れます。
ネットフリックスの停滞の原因の一つが、足元のインフレにより、余計な出費に対して厳しい目が向けられていることがあるそうです。
とは言うものの、若い世代においては、ひょっとするとレコードの事例が示すように、お金を振り向ける先に変化が生じているのかもしれません。そもそもレコードは一曲あたりのコストとしては非常に高いわけですから。
ネットフリックスに勢いが生まれた時期を考えると、コロナ禍の下、身動きが取れず選択肢の少ない中で生み出されてしまった時間を「消費」するのに丁度良かったサービスと言えます。
それに対して、レコードは何を与えてくれるというのでしょうか。
個人的な見解として、時間を「活かす」「味わう」という感覚を与えてくれるんじゃないだろうかと考えてみました。
というのも、最近注目されているものが、レコードに始まり、
喫茶店、銭湯、チェキなど、いわゆる「レトロ」なものに向かっているからです。
どれも物そのものへの憧れだけではなく、それらを通した「時間の流れ」に強い関心があるように思えるのです。「わざわざ」針を落とし、「わざわざ」お風呂に通う。そして、「わざわざ」写真が出来上がるのを
待つ。このような適度な「わざわざ」に価値が生まれ始めています。
「わざわざ」が生み出す独特で比較的穏やかな時間の流れを、大切にしたい。
そんなところでしょうか。
ライフステージにも金銭的に「せわしない」時期と、どちらかというと「穏やかな」時期があります。
その「穏やかな」時期をうまく活かせるか。それはとても大事なことです。
例えば教育費。
よくご相談を受ける内容ですが、大学までのトータルの金額を再確認して、大きな負担感を覚えられます。
ただし、学費というのは、かかる金額とタイミングがおよそ決まっています。
やはり、特に負担感が大きくなるのは大学です。でも、その時期が来るのは、生後から考えておよそ18年も先の話。金額は大きいものの、準備期間があります。
この「せわしない」時期がある一方で、小学生の期間は金銭的には「穏やかな」時期と言えます。
小学生の期間は、およそ公立のケースが多く、学費などのコストも抑えられる傾向にあります。
かつ期間も6年と長いのも特徴です。時間に余裕が生まれれば、パートに行くことで収入面でのサポートも計画することだってできます。政策的には児童手当のフォローもあります。
積立NISAなどに代表されるように、そもそも運用には長期スタンスが求められます。
運用によって教育費の形成を検討するならば、「穏やかな」時期からしっかりと始めることが大事です。
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