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個人事業主の事業承継についての問題点と解決策

事業承継と聞いてよく耳にするのは、法人のものが多いと思います。

しかし、個人事業主の方も事業承継は大切なことが多くあります。今回は、個人事業主の事業継承についての、問題点、解決策について解説しております。

あなたが事業承継について正しく理解し、スムーズに進めるための情報をまとめました。



個人事業主の事業承継

個人事業を後継者に承継するには、現在の事業主が所有する事業に必要な資産を後継者に引き継ぎ、後継者が新たに個人事業主となり事業を開始することで行えます。

個人事業主の事業承継には「贈与」「相続」「売買」の3つの方法があります。

個人事業主は自営業者である個人が納税義務者のため、事業承継を行うと事業用の資産を新たな個人事業主に移されなければいけません。



贈与による事業承継

贈与による事業承継は、個人事業主が自分の親族または他人に事業資産を生前贈与することです。例えば歯科医院を子どもに譲るのであれば、店舗の不動産、書籍、本棚などの資産を贈与します。

自分の子供や妻を後継者としたいという想いがある場合には、贈与による事業承継が最も確実に行える方法です。

しかし、個人事業主は個人が開業したものであり、組織としての人格がないため、贈与した先代の事業主は廃業届を税務署に提出することになります。また贈与された後継者は開業届を提出します。税務署や都道府県税事務所に対する廃業と開業の届け出があります。廃業とその後の確定申告、開業の届け出によって、現在の経営者の納税義務は終了し、承継後の納税義務は後継者にあることを知らせられます。その他に社会保険や労働保険に関する手続きでは、年金事務所、ハローワーク、労働基準監督署にいきます。営業の許認可申請や届出に関する手続きや屋号(商号)の登記に関する手続きは法務局等で行います。



相続による事業承継

相続による事業承継は、現在の個人事業主が亡くなった際に、遺産分割協議後、後継者を決定します。そのため、家業を継ぎたいという子供がいたとしても、他の相続人が反対をしたら事業承継をすることはできません。



M&A(売買)による事業承継

M&A(Mergera(合併)and Acquistions(買収))による事業承継は、個人事業主の事業資産を他人に売却することです。贈与や相続に比べると売買による個人事業主の事業承継は、それほど多くはありません。



固定資産、減価償却資産の承継

土地、建物、車両などの固定資産、製造用の機械等の減価償却資産、預貯金、売掛金、在庫商品を引き継いだ場合、個人事業主の資産として帳簿に記載する。



借入金の承継

買掛金や未払金といった負債も併せて引き継ぐことになります。こちらは借入金として帳簿に記帳する。



不動産の承継

事業用資産に不動産が含まれている場合は、譲渡方法の検討が必要です。商品や備品などと違い不動産は資産価値が高いため、贈与税が高額になるおそれがあるからです。

子供に贈与による事業承継をする場合は、不動産に関しては、譲渡するよりも貸し付ける方法を選択した方が経済的負担が軽減できます。

不動産の貸付には「賃貸契約」と「使用貸借」という2つの方法があります。


賃貸契約によって貸し付ける方法

賃貸契約は承継者である子どもと賃貸契約を結んで、月ごとに賃借料を徴収する最も一般的な方法です。子供の側も賃借料を経費として計上できるメリットがあります。

賃借料を相場価格よりも大幅に下げると、差額が贈与と見なされる可能性があるので、金額の設定には注意が必要です。


使用貸借によって貸し付ける方法

使用貸借は無償で不動産を借りる方法です。また、賃料が固定資産税の範囲内程度までの支払いであれば賃料を払っているとはされず、使用貸借とされます。

身内に土地を貸す場合によく用いられる手法ですが、貸主が明け渡しを求めたら、早急に退去を余儀なくされるという不安定な側面があります。


以上が個人事業主の事業承継の「贈与」「相続」「売買」の3つの方法についての解説となります。また、事業承継を行う上で大切になってくるのが税制面についてのことです。税制面についても解説いたします。



個人事業主の事業承継の税金面

個人事業主は自営業者である個人が納税義務者であるため、贈与による事業承継に伴いどのような税金の対象になるのかを把握しておく必要があります。

・贈与税

個人事業主である親が子どもに事業承継するケースでは、無償で事業資産を渡すのが一般的です。この場合、譲渡した資産が高額であると贈与税の対象になります。

事業承継に伴う贈与資産の算出は、資産と負債に分けて行います。

資産には、土地、建物、車両などの不動産、預貯金、売掛金、在庫商品があります。

負債には、未払金、借入金、買掛金があります。

「資産」-「負債」が110万円を超えていれば贈与税の対象になります。個人版事業承継税制が令和元年度より創設されたことにより、納税免除が可能になりました。


・所得税

個人事業主の所得は、1月1日から12月31日までの所得が対象になります。子供が事業承継をした場合は、事業承継後に後継者が得た収入から経費を差し引いた金額が所得税の対象になります。


・消費税

消費税は年間の課税売上高が1,000万円を超える個人事業主が対象になります。もし先代の個人事業主が課税事業者だった場合、贈与によって承継したか、相続によって承継したかによって扱いが異なります。

贈与によって承継した場合は、後継者が新たに開業した扱いになるため、基本的に開業後2年以内は消費税の納税義務が免除されます。

相続によって承継した場合は、消費税の対象となる売上高を後継者が引き継ぐことになります。たとえば先代の売上高が800万円で、後継者の売上高が600万円だったとすると、合計して1,000万円を超えるため、後継者は課税事業者になります。



個人版事業承継税制

経営承継円滑化法という法律の認定を受けた後継者が、一定の事業用資産を、現経営者やその親族から贈与や相続によって取得した場合、そこで発生する贈与税・相続税の納税が猶予される税制です。

猶予された状態で一定要件を満たすと、最終的に納税義務が免除されます。

納税猶予の対象になる事業用資産・事業内容・後継者・贈与者や被相続人(経営者やその親族)には、以下の要件があります。


・事業用資産の要件

贈与や相続開始の前年分の事業所得にかかる青色申告書の貸借対照表に計上された資産のうち、宅地等(400㎡以下の部分)建物(800㎡以下の部分)。固定資産税の課税対象になるもの(機械、器具備品など)、一定の車両、生物(乳牛・果樹など)、無形固定資産(特許権など)


・事業内容の要件

贈与や相続開始時において、資産管理事業や性風俗関連特殊営業に該当しない


・後継者の要件

贈与の日において18歳以上である(贈与のみ)。贈与の日まで引き続き3年以上(相続の場合は、相続開始の直前において)、その事業や同種の事業に従事している期限内に、都道府県に個人事業承継計画を提出し、経営承継円滑化法の認定を受けている。期限内に、税務署に開業届出書・青色申告承認申請書を提出している


贈与者・被相続人の要件(経営者の場合)

贈与(相続開始)の年・その前年・前々年の確定申告を青色申告(青色申告特別控除55万円又は65万円が適用される申告)で行っている。税務署に廃業届出書を期限内に提出している(贈与のみ)


・贈与者・被相続人の要件(経営者以外の場合)

経営者(事業者)の同一生計親族による贈与(相続)である経営者からの贈与・相続から1年を経過する日までに贈与・相続されたものに限ります。



<まとめ>

個人事業主の事業承継も法人の事業承継と同様に問題点を整理して解決策を一つ一つとっていく必要があります。ご不明な点がありましたら、税理士やFPにご相談してください。

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